黒田総裁の記者会見と相場展開

本日の相場は、日銀金融政策決定会合を受け、株安・円高が加速している。

黒田総裁の記者会見(要旨)を見る限り、無難な回答という印象を受ける。つまり、「長期金利がボラタイルである点は問題」としつつ、その点は十分に注視するものの、中央銀行は(どの国も同様に)長期金利そのものに対して直接云々できるものではないので、そこは純粋期待仮説に基づき「より短期の金利であっても、それを長期にわたって据え置くという姿勢が示されると、イールドカーブのより長い方に向けての効果も出てくる」と教科書通りの回答になっている。

総裁記者会見要旨(2013年6月12日)

確かにその通りではあるが、市場の受け止めとしては・・・

①長期金利のボラティリティは低めるとしても、トレンドとしての上昇は放置するつもりのようだ

②「異次元」とはいうものの、今までの「日銀」との違いがみえない

特に①が問題であり、国内の機関投資家(銀行など)を中心に国債保有リスクを感じ始めている。ボラタイルな動きは当然問題ではあるが、金利が上昇トレンドを持つのであれば、価格の下落リスクが高まるため売却圧力が上昇する。そうならば、売り急ぐ動きが加速し、さらに悪い方向に市場が進むことになる。

むしろ、そのタイミングを計っているような感じになってきている。

このような状況を心配しているのに「現状維持」を強調すれば、市場の心配を肯定したことになり、政策当局とは逆の思惑で市場が動くことになる。

金融政策には即効性はないので、現在、「さらに何か」をする必要はないと思うし、そもそもこの「異次元の金融政策」自体に疑問もあるが、ここにきて「言い訳」のような話を繰り返してみても、市場とまともに対話できるはずもない。

「異次元」というのであれば、その異次元である部分を示さない限り、市場の信頼は戻らないであろう。

確かに「3本目の矢」が大切であり、これは金融当局とは別の話である。ただ、その問題とは別に、長期金利に対しては「ボラティリティ」だけでなく、水準についても「物価が上昇するなら、金利も上がるであろう」という教科書的な言及でない「異次元」の回答を市場は期待している。

この期待に応えることは難しいだろうから、当分、流動性相場の欠点である、ボラタイルな動きが続くものと予想する。

takuom について

高崎商科大学 商学部/大学院商学研究科 教授、早稲田大学 理工学研究所 客員研究員/エコノミスト/大学教員/金融・ファイナンス、経済統計、非営利事業、環境政策/天然住宅バンク理事【著書】銀行システムの仕組みと理論(単著)、おカネが変われば世界も変わる(共著) 【お願い】執筆、講演等のご依頼は下記(メール)まで。メール:tkmaeda1963@4月@gmail.com(但し、実際に送信する際には「@4月@」を「@」に変更してください)
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