アベノミクスは「持続可能」な政策か?

アベノミクス効果により、目先は景気浮上の可能性があるが、これが「持続的」なものであるかどうかについては疑問がある。

■外需頼みでは成長のためのイノベーションが起きない

成長戦略といっても「国内がダメだから外需に」という感じであり、国内の「規制緩和」についても、本来国家的に保護すべき「規制」が緩和され、既得権で儲けていた“強いもの”の保護を目的とした規制は維持される方向で調整が進んでいるような感じがする。これでは創造的破壊にはならず、既存の経済・社会システムが維持されるだけで、イノベーションは起こらない。

このような中、株価上昇は企業の将来価値の向上とみることも可能なので、その意味では「所得が増えるかも」という期待もあろう。

しかし、外需頼みでは企業収益が向上してもその変動が激しいため、経営上のバッファーを厚めにしておこうと考える主体が多くなり、労働分配に回す主体はそれほど多くないと考えられる。つまり、今のやり方では給料は(あまり)増加しそうにないと思われるので、今ある「期待感」は早晩消滅する可能性が高い。

■内需のためには・・・

以上のように「内需を如何に拡大するか」がポイントであり、規制緩和自体は大切だが、弱いものをさらに窮地に落とすような「規制緩和」では内需は拡大しない。

日本で内需が盛り上がらないのは「デフレだから」という面もあり、その意味ではアベノミクスがやろうとしていることも理解できるが、実際には家計が将来に自身が持てず、流動性を高めているからとも考えられる。

家計の金融資産の多くは、先進国では珍しく、現預金が中心である。当然、「貯蓄が好き」という考えもあろうが、果たしてそれだけだろうか?

下図は日本と米国の時系列でみた住宅の価値の変遷である。これでみてわかるように日本は20年程で価値がゼロになるのに対して、米国では100年経っても十分に価値がある(*1)。

日米における住宅価値の変遷

この点を何とかしなけば、日本の内需は盛り上がらないと思うが、如何だろうか?

*1:日本と米国の時系列でみた住宅の価値が上図のようになっている点に関しては 成熟経済下における日本金融のあり方 第7章で論じている。

takuom について

高崎商科大学 商学部/大学院商学研究科 教授、早稲田大学 理工学研究所 客員研究員/エコノミスト/大学教員/金融・ファイナンス、経済統計、非営利事業、環境政策/天然住宅バンク理事【著書】銀行システムの仕組みと理論(単著)、おカネが変われば世界も変わる(共著) 【お願い】執筆、講演等のご依頼は下記(メール)まで。メール:tkmaeda1963@4月@gmail.com(但し、実際に送信する際には「@4月@」を「@」に変更してください)
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