書評―田中優著[2011]『原発に頼らない社会へ』ランダムハウスジャパン

田中優著[2011]『原発に頼らない社会へ』ランダムハウスジャパン

◆書評

本書は、現在進行中の原発事故において、今、多くの人々が不安に思っている事柄に対し、今からでもできる防御策を分かりやすく丁寧に解説しているとともに、表題にあるように、原発に頼らない社会へのシフトの必要を訴え、そのための現実的な処方箋も交えて、将来あるべき一つの社会像を示している。原発及び日本の電気事業における問題点を勉強したいと考えている人はもちろん、今起こっている(反原発等の)事柄について知りたいが、基本的な知識に乏しいという読者であっても、専門的な部分は例を引き、ビジュアルでわかるように多くの図表を用いて解説しているので、前知識はあまり必要なく、読み進めていけるという点が特徴の一つといえよう。

本書は、少し長めの「はじめに」の後に「脱『恐竜の時代』を」というPrologueがあり、その後3つのChapterで構成されている。

ここで「はじめに」では原発事故によって拡散された放射能物質に対する不安に、今からでもできる対処策を丁寧に解説するとともに、これからの注意点なども述べられる。続く「脱『恐竜の時代』を」では、本書のテーマでもある「貪欲な恐竜(巨大企業)」についての問題点が述べられている。

Chapter1は信用創造の増幅機能とその後に起きる信用収縮が社会を混乱、または、不況に陥らせている点について考察し、エネルギーもこのメカニズムが働いていることを示している。そこで「Chapter2エネルギーをどうするか」に続き、「自動車の問題」「貯められない電気の問題」を丁寧に説明する。その後、「第3節 電力の温暖化問題を解決する」において、世界的な事例を参考に、筆者なりの解決策を提示している。ここで示される解決策は社会的なものであり、誰か個人が動いて解決できるものでもはない。しかし、「おカネの発想」を取り入れることで解決できることもあることから、Chapter3で具体的な事例を通じて説明し、社会の変革のために、将来あるべき一つの社会像を示している。

著者の現代社会に対する考察は、示唆に富んでいて興味深く、また、単なる机上の理論ではなく、実践的なものだけに、多くの読者が共感できるものであろう。反原発・原発容認に関わらず、今の社会について語るのであれば、まずは一読すべき書であり、その意味で良書と言えよう。

以上

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takuom について

高崎商科大学 商学部/大学院商学研究科 教授、早稲田大学 理工学研究所 客員研究員/エコノミスト/大学教員/金融・ファイナンス、経済統計、非営利事業、環境政策/天然住宅バンク理事【著書】銀行システムの仕組みと理論(単著)、おカネが変われば世界も変わる(共著) 【お願い】執筆、講演等のご依頼は下記(メール)まで。メール:tkmaeda1963@4月@gmail.com(但し、実際に送信する際には「@4月@」を「@」に変更してください)
カテゴリー: 非営利, パーマリンク

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