「おカネ」って何?!?!

2年ほど前(2008年02月06日)に書いたものなので、若干、今とは状況が異なりますので、その点は予めご了承ください。
 
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   ブレークスルー経済学 by T.Maeda
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『「おカネ」って何?!?!』

世界中に「おカネが溢れている」といっているのに、FRBもECBも「資金供給(金融緩和政策)」をしています。「おカネがあるのにおカネがない」ということですが、どういうことなのでしょうか?

これって意外と難しい「問い」なのですね。実際、「おカネ」の統計である「マネーサプライ統計」で定義している「おカネ」は、各国で異なります(日本は「M2+CD」、米国は「M3」など)。

おカネの定義の違いは、その国の歴史的な経済・金融システムの違いが影響しているので、このようなことが起るのです。

「おカネ」とは一般に「紙幣」又は「コイン」を考える方が多いと思います。実際に、その通りなのですが、それだけではありません。世界的にも「銀行預金」は「おカネ」です。

では、何が「おカネの定義を難しくしているのか?」というと「おカネ」と「金融商品」の違いについての考え方が「各国で違う」ということが原因です。

「銀行預金」は金融商品ですが、他の金融商品(例えば、債券など)とは違い、世界の各国の国民がそれぞれ国内的に「おカネである」と認められています。したがって、各国とも「マネーサプライ統計」において「銀行預金」までは「おカネである」としています。その他の「金融商品をどこまで認めるか」が、各国で認識が異なるので、マネーサプライ統計が各国で違っているのです。

ここで「おカネであると認められる」とは、どういうことなのでしょうか?

おカネと金融商品の違いは「すぐにモノを買うことができるか/否か」ということです。これを「即時的購買力」といいますが、「即時」とは「すぐに」であり、「購買力」とは「モノを買う力」を指し、「おカネ」には「即時的購買力がある」のです。他方、金融商品の場合には、それがなく、代わって「潜在的購買力があるモノ」のことを言います。

つまり、どちらも「購買力」はあるものの、それを実行するのが「すぐに」なのか「後で」なのかの違いであるといえます。

そして、この購買力の「すぐに(即時性)」と「後で(潜在性)」を交換する場が「金融市場」なのであり、そこで「プライス(モノの値段)」の役割をするのが「金利」です(またの機会に説明します)。

このように「すぐにモノを買うことができる」ということが「おカネ」なので、モノを提供する側からすれば「モノの対価を受領した」と考えられるモノが「おカネ」ということになります。つまり、実物取引を完了(これを「決済」といいます)させるモノが「おカネ」なのです。

このような「決済性」は歴史的に「銀行預金」にも「ある」と「社会の多くの人」が認めているので「銀行預金=おカネ」なのです。しかも、実物取引は必ず「決済される」ことが必要なので、当然、「おカネが必要」ということになります。

ここで問題は、「おカネ」自身はいつも「即時的購買力」を持っているので、そのおカネを使用しようが使用しまいが、「即時性」と「購買力」は保持されています。

今すぐに「おカネを使用する予定のない人」は「即時性」は必要ありません。そこで、「即時性」のない「金融商品」を保有することになります。なぜなら「決済」には使えませんが、将来的には「購買力がある」と信じられているので、金利などがついて有利だからです。

したがって、「金融商品」を保有している人は「おカネ(購買力)を保有している」と考えます。他方、「金融商品」は「決済できない」ので、今すぐにはモノを消費したりすることはできません。

つまり、「金融商品」という「おカネ」が沢山あっても「決済できない」ので、「決済できる」という意味での「おカネがない」という状態があり得ることになります。

それがまさに現在であり、「おカネ(金融商品)が沢山あるが、おカネ(決済資金)がない」という状態であると、中央銀行等は考えているのです。

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takuom について

高崎商科大学 商学部/大学院商学研究科 教授、早稲田大学 理工学研究所 客員研究員/エコノミスト/大学教員/金融・ファイナンス、経済統計、非営利事業、環境政策/天然住宅バンク理事【著書】銀行システムの仕組みと理論(単著)、おカネが変われば世界も変わる(共著) 【お願い】執筆、講演等のご依頼は下記(メール)まで。メール:tkmaeda1963@4月@gmail.com(但し、実際に送信する際には「@4月@」を「@」に変更してください)
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「おカネ」って何?!?! への1件のフィードバック

  1. mitunari21 より:

    以下のニュース
    >「バフェット、ゲイツ氏の呼びかけで米富豪が寄付を誓約」2010年 8月 5日 17:25 JST
    と先生の  「おカネ」って何?!?!  を併せ読むと
    (「*」はmitunari21の加筆)
    >それがまさに現在(*の米国の慈善業界の実態)であり、「おカネ(金融商品)が沢山あるが、おカネ(決済資金)がない」という状態であると、中央銀行等(*「2008年02月06日」の先生のブログを読んだビルゲイツやバフェット・・)は考えているのです。
    ということなのだろうと思いました。
    ところで、社会起業家を目指す当方としましては「稼ぐのは上位20% 消費するのは下位80%というロングテールな社会構造の創出を考えております。

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